フリーランスのシステムエンジニアって儲かるの?

前提

そろそろ独立したほうがいいかな、と多少なりとも考えている人。自社だけではなく、他社の営業さんとも楽しく話ができる人。出向先で、必ずと言っていいほど「うちに来ないか」と水面下交渉される人。初対面の人と会話をするのが得意な人。隣人の財布の中身が気になる人。

会社勤めに疲れてしまっていて、自由に仕事をしてみたいという人は「やや不向き」。

■儲かるの?って質問、必ずされるんです

エンジニアには相場がある。まぁ、当たり前の話なんだけど。自分は札幌を拠点としているので、札幌のエンジニア相場からかんがみて、儲かる儲からないの話になる。
現時点の札幌で、会社勤めで年収一千万を超えている人には、儲からない、と言っていいと思う。システムエンジニア相場で考えれば、財布の中身的にトントン以下になってしまうだろう。エンジニア相場で考えると、その半分を超える程度。福利厚生もろもろをかんがみると、サラリーマン生活とさほど変わらないんじゃないだろうか?残業代(※1)だって出るし。

※みなし残業という謎の制度があるグレー会社勤めの人はその限りではない。気になる人は「みなし残業 違法性」でググってみてください。

■システムエンジニアとエンジニアの違いって分かりますか?

いわゆる、プログラマーというのはエンジニアと考えていいと思う。なので、システム現場の8割はエンジニアだ。そう考えると、あなたの現場の「システムエンジニア」が誰なのかは大体想像がつくと思う。チーム制であればリーダーさんがこのシステムエンジニアに当たる。ユーザーからのヒアリング内容を上流に流して、下流の工程人員をアサインする。コーダー寄りの人は基盤のプログラムも多少書くかもしれない。当たり前の話だが、こういったマネージメント作業を行う人は単金が高い。底値と比較すると1.5~2倍くらい(※2)だと思う。

※2 派遣系ペーペー新人の無料期間を除く。互いにメリットがあるから問題になっていないが、実際はとんでもない話。

椅子取りゲームと一緒で、システムエンジニアの人数は限られている。そのうえ、業務の性質上、ユーザーとの接点が少なからずある立場になるので、おいそれと任せられるポジションではないはずだ。そのせいもあって、サブリーダー、場合によってはリーダーからマネージメントに移るケースがほとんどだと思う。この辺はサラリーマン時代と変わらない。

これでお分かりのように、「フリーになりました」という真新しい名刺の状態では儲からない、と言っていいだろう。

ただし、中にはとんでもなく飛びぬけた技術者がいるのも事実で、コンサル面を兼ねてやれるレベルのシステムエンジニアは話が違ってくる。こういう人は、やっぱり単金も飛びぬけている。マイノリティの言葉が通りづらいのと一緒で、こういうごく一部の人のもうけ話のほうがクローズアップされる機会が多いから、フリーランスは儲かるという認識が植え付けられてしまうのかもしれない。

■なんでフリーランスになんてなったのよ?

もちろん、メリットがあるからに決まっている。財布の厚みは変わらないが、自分の場合は機材や書籍が格段に充実した。Web系エンジニアということもあって、どうしても検証用のハードが必要になる。Windows,Mac,Linuxはもちろん、ある程度のバージョンをそろえておきたい。タブレットだって必要だし、スマートフォンは必需品だ。なので、どうしても経費がハード系に寄ってしまう。

そもそも、エンジニアが必要とする書籍は高い。一冊3000円だったら「安い」と感じてしまうくらいに高い。専門の情報はググればいいでしょ?と思う人もいるかもしれないが、Webの情報は鮮度はそこそこだが、信頼性でいうと微妙というのが自分の見解だ。自分の場合はMicrosoftの組み込みメソッドの確認はWebを多用しているが、専門的な個所の場合は必ずそれ用の書籍を一冊読むようにしている。専門図書を気軽に買えて、経費で落とせるというのはメリットになる。

このサイクルは自分のスキルアップを考えても、いい循環になっているんじゃないだろうか。いろんなOSにふれる、いろんなハードにふれる、いろんな紙の書籍(※3)に目を通す。結果、意識せずに勉強できている。

※3 電子書籍は自分は経費購入はしていないです。専用のハードを準備してもいいと思えるようになったら、電子書籍に切り替えようと考えているんですけど、まだしばらくは紙でいいかな。。製紙業とか物流業の人の取り分を考えると、電子書籍の料金体系ってかなりおかしい気がするし。

■だったらフリーランスになっちゃおうかしら?

ちょっとお待ちを。現実はそこまで甘くはない。当然、デメリットがとてつもなくでかい。見積書を作って、注文書をもらって、請求書を出さないとお金が入ってこない。まず、見積書を作れる(渡せる)ところまで行けるかどうか、そこを考える必要がある。たいていここで躓いてしまう。仮に請求書まで出せたとしても、「継続的に」見積書を出せるか、というのが次のポイントになる。サラリーマンは、給与体系にもよるが、たいてい毎月サラリーが入ってくる。多少さぼろうが、午後一に半分寝てようが、よほどのことがない限りは給与は保障されている。福利厚生も充実している。定年後は年金も入ってくる(※4)。退職金は、経営者によるところが大きいが。

※4 予定は予定であって決定ではない。企業年金のほうが国民年金より受け取れる額は多いです。なので、フリーランスの人はほぼほぼ、小規模企業共済に入っています。

まとめ

あなたの仕事って儲かるの?と言われても、一概には何とも言えないものだと思う。どんな仕事だって、ケースバイケース。フリーランスだってそこは変わらない。技術力だけではなく、立ち回りも上手な人は大丈夫だと思うが、昨今の社会情勢を考えてみると、石橋をたたいて渡れるサラリーマンに軍配が上がるんじゃないだろうか。

ちなみに、ITエンジニアは儲かるという話を聞いた人の業界外からの転職の話もよく聞くが、努力してもそうそう結果は出ないと思ったほうがいい。なれてもテスター、たまにテストコードを書かせてもらえるかな?ってくらいじゃないだろうか。本番コードをかけるところに至るまでは至難の道だ。

数年間、基礎からみっちりやりこんだオブジェクト指向の若い戦士たちが、どんどん社会に送り出されている。そこと同じ土俵に立たせてもらえるだけの魅力が自分にあるのか、それは最低限、客観視しておいたほうがいい。私自身も、そのくらいの気持ちでフリーランスやってます。

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